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Globe Trotter Expedition

 先日の上海出張の帰り、飛行機に預け入れた私物のグローブトロッターのスーツケースに深い切り傷を入れられてしまいました。
 今回利用したANAは「傷なんて見えない」「傷は軽度だ」「その程度の傷は保証しない」と抵抗し、しまいにはグローブトロッターに穴が開いているかどうか確認するために水をかけると言い出して大トラブルに。グローブトロッターは英国式の紙を積層したカバンなので、表面のコーティングが無くなると水が染みやすく、禁物なのですが、それすらわかって貰えませんでした。結局修理はして貰えることにはなったものの、未だに「受付の態度が悪かったので修理するが、本来は修理するような傷じゃ無い」と言い張り、大変に不快な思いをしております。
 しかし、実際には鞄も中身も大きなダメージを受けており、修理上がりは9月中旬の見込み。幸い、機材こそほとんど機内持ち込みにしていたので無事でしたが、カバンの中のお土産の多くが凹み、弊社スタッフの自家消費になってしまいました。これがもしも、カメラやUST機器などの重要機材が入っていたらと思うと、ぞっとします。

 今年はSIGGRAPHこそ参加しないものの、弊社アイラ・ラボにも京都ブランチができて移動も増え、これから秋にかけては毎年国際出張も多くなる季節です。それらの移動に撮影の並行して行う場合には、当然機材の預け入れもやむを得なくなってきます。私物やお土産程度ならともかく、仕事で使う機材にダメージがあったら、いくら「傷なんて見えない」と言い張ったところで、洒落にも冗談にもなりません。デジタル映像がメインでたいして高価な機材は無い我が社ですが、それでも、やはり映像機器は映像機器。入手困難な上に機内持ち込みが難しいものも多く、そうした機材が壊れれば仕事になりません。そうなれば会社の危機です。
 そこで、私は考えました。「我が社の機材輸送用に、更に丈夫な鞄を買おう!」と!!

 小型カメラは機内持ち込み、大型カメラや収録機器は定番のペリカン&クッションで行くとしても、問題はUST機材や液晶モニタ、RIGなどのかさばる周辺機器。これらをまとめて入れられて、なおかつ使い勝手の良いカバンが必要です。
 そこで目を付けたのが、今回傷を付けられたのと同じメーカー、グローブトロッターの新しいシリーズ「Globe Trotter Expedition」です。これを機材運搬ケースにできないか、と考えたのです。

 何が違うかというと……
 まあ、まずは黙ってこのリンクをお読み下さい。
http://www.fashionsnap.com/news/2012-02-23/globe-trotter-expedition/

 南極探検におけるスコット隊の悲劇はよく知られるところで、その失敗の原因は、探検に研究を組み合わせた無茶なスケジュール、急に増えた隊員数などもさることながら、英国軍式装備にこだわりすぎ、新型雪上車が故障し、軍馬は凍死し、最新鋭の牛革防寒具は水分を含んで服の機能を失い、英国風の紙のカバンは周囲の氷雪の水分や結露で分解して食糧や荷物の大半を失ってしまったことにある、とされています。
 英国式の紙のカバン……そう、グローブトロッターが、スコット隊の失敗の原因の一つとも言われて居たのです。(ちなみに、服はかのバーバリー社製でした)

 しかし、それを放置しないのが英国式。
 スコット隊の失敗から100年経った今年「もしスコット隊がこの装備を持って行っていたらきっと成功したに違いない」という想定で、素材に紙では無くコットン布を使い、ボードの厚みが従来の1.5倍ある特注のグローブトロッターなど、当時の技術で再現可能な装備の数々が作られ、それを持ったBSAE隊がスコット隊と同じコースをたどり、見事に南極点往復に成功したのです!
 そのBSAE隊が持っていったグローブトロッターこそ、この「Globe Trotter Expedition」です。

 BSAE隊を助けたこの特殊なカバンなら、きっと機材を守ってくれる!……はず!高いけど!!
 実際、今年の頭の諏訪湖御渡りの撮影では、結局零下10度でもまともに使えるカバンが無く、最後には手で機材を運んでおりました。
 しかし、今度こそは、スマートに機材を運んでいけるのではないかと期待をしております。
2012-08-08_22:04-teduka::creative

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