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 またまた武生ナイフビレッジの、鍛造刃物教室に行ってきました!

 今度は、なんと社員連れです(笑)

 遠路はるばる、東京から越前武生まで、片道8時間弱の車の旅でした。
 行き途中では10年に一度という11月中旬の雪に見舞われ、ノーマルタイヤの身で大変恐い思いをしました。
 無事に着いて良かったです。


 で、今回、私は中級コース。担当の先生は……

 おお、なんと、佐治武士先生!
 前回初級コースに引き続きのご担当です。
 佐治先生は、和式ナイフの第一人者であらせられ、伝統工芸士として和式刃物を引っ張ってゆく方。
 単に自ら刃物を打つだけでなく、野村先生他、自分の工房スタッフを率いて世界を相手に戦っている人物です。
 そんな方の直接指導とあって、緊張します。


 今回は、中級コースということもあり、和式定番の鉈ではなく、ナイフ作りに取りかかります。
 2回目にして、いよいよ教室名通りのナイフ作りに取りかかるわけです。
 材料は、ステンレス鋼材ATS-34に鋼である白紙鋼材を割り込んだクラッド材(複合鋼材)。既に鍛接済みのこの材料を叩いて引き締め、軽く鍛造をしてから製作に入る段取りです。
 本格的な鍛造は鍛接専門コースでないと経験できないため、もう1年間はこのクラッド材で我慢です(^^;
 とはいえ、ちゃんと火作り鍛造をして作るんですよ!



 まずは、設計図、型紙を起こします。
 鍛造とは言っても、日本刀の鍛造と違ってほぼ100%に近い形状をハンマーだけで叩き出すわけではなく、120%位の大きさの板に叩き、それを型紙から切断切削して作り上げるのが和式ナイフの特徴です。
 越前伝統の包丁製作技術からの応用と聞いています。
 これによって、手打ち、高品質、量産という矛盾した条件を兼ね備えた和式ナイフ作りが可能となり、ストック&リムーバルの洋式ナイフに匹敵する製作が可能となったわけですが……つまり、この型紙作りがキモというわけです。
 で。出来た型紙が、これ。

 試しに、見本のヒルト(鍔)、柄に差してみると……

 を、即興で書いたにしては、案外いけるかも。


 そして、いよいよ火作り鍛造開始。
 まずは、真っ赤に燃え上がるコークスに火箸に掴んだ材料を突っ込み、燃えないように気をつけながら寸前まで赤らめます。

 そして、赤らめた鉄を、慎重且つ手早く打つ!

 そうそう。鉄って燃えるんですよ。正確には脱炭という現象を起こし、線香花火のような火花を散らしながら、焼きの入らない、役立たずのくず鉄になってしまうんです。
 ……私も今回、練習用の鉄の棒をしっかりと燃やして、体験してしまいました(^^;


 そして、出来たナイフっぽい形の鉄の板に、先ほどの型紙からナイフの形を書き写し、シャーリングマシンで外形を切り出します。


 ざっとまあ、こんな感じですね。
 後はこいつを、外形削りだし、焼き入れ、焼き戻しをして、その後、回転水砥で刃付けをして、最後に手研ぎを行って、ブレードの完成です。
 ちょっと失敗して、和式らしい黒打ち仕上げのつもりが、うっかり地まで削ってしまってステンレス地むき出しのヘアライン仕上げになってしまったのはご愛敬(^^;
 で、ここまでで、初日が終了です。


 そして、2日目は、ブレードの仕上げをしつつ、その間にヒルトと柄とシース(ナイフケース)を作って行く訳なんですが……
 すみません、ここから先は丸一日文写真がありません。
 実は、まず1日目の夜の内にブレードに大きな傷が見つかって朝一から回転水砥で研ぎ直し、ようやくの思いで柄をカシメ締めしたまでは良かったんですが、今度はカシメ過ぎたのか柄材が割れてしまいまして……
 急遽、グラインダで無理矢理に柄を削り取って、ブレード以外の部分をゼロから作り直すハメになってしまったのです。

 そのため、写真を撮っている暇が全くなくなってしまいました。
 残念。
 ただこの間、うちのスタッフが色々と写真を撮っていたようですから、いずれそこから写真を貰えるんじゃないかと思います、ええ(^^;


 で、時間は飛んで、いきなり講評会(^^;
 わずか2日間の短い時間で、みんな、思い思いのものを作り上げてゆきます。

 私の作ったのは、これ。

 なんとかかんとか、講評会開始1分前に主要な工程を終わらせまして、ほぼ形にだけはしました。
 ただし、研ぎは回転水砥だけ、柄も、指の形にざっとベルトサンダーで削りだしただけという状態です。
 続きは家に帰ってから仕上げるつもりです。


 その後、反省会で、佐治先生と様々なお話をさせていただきました。
 今回は佐治先生の仕切りでの鍛造ナイフ教室ということもあり、仕切り役と兼任でかなりご多忙の中、丁寧極まりないご指導をいただき、大変感謝をしております。
 それにしても不思議なのは、同じ機械で同じように手を動かしているはずなのに、なんで、佐治先生がちょっと触っただけで全然違う凄いものが出来上がるのかというところですね(^^;
 私もデジタル絵描きという職業柄手先の器用さには自信があったのですが、やはり、そんな器用さなどものの役にも立たないほどの、修練の積み重ねの差があるのでしょう。
 しかも最後には、佐治先生、浅井先生のお二人に、直接、帰り道の御指南まで頂戴してしまいました。
 おかげで雪に遭わずに済み、弊社スタッフ一同無事に都内に帰ることが出来ました。
 超の付くほどの日本ナイフ界の大御所にもかかわらず、私のような他業種の小者にも、本当に気さくに接していただいております。
 佐治先生、浅井先生はじめ他の先生方、タケフナイフビレッジの方々には、ただただ感謝をするばかりです。


 そして、自宅にて。
 前回の鉈との比較です。

 今回のナイフは、「和式ユーティリティ」。
 せっかくのステンレスなので、ヨット向けのナイフのつもりです。
 火作り鍛造で厚手に打上げた複合材に、ややドロップ気味のポイント形状のブレードをフラットグラインドで仕上げ、それだけでは切っ先が重すぎるので切っ先側のベベルを大きめに取ってあります。

 峰側から見ると、ご覧の通り、全体に分厚いものです。
 一見薄そうに見えるポイント(切っ先)部分の峰も、実はまだかなり分厚く残してあり、サカナの血抜きや骨切りに突き刺してもつかえるようにしてあります。
 こいつはこの後で、柄の部分と、ヒルト(鍔)の仕上げにはいるつもりです。




 さて。今回のナイフを作っていて、何度かそれぞれ別の人から突っ込みがあったのが「それ、海で使うんなら、本当は切っ先の部分だけでもダブルエッジにしたかったよねえ」という話でした。
 もちろん皆さん、それを出来ないことを承知で、苦笑いをしながらのお話です。
 ご存じの通り、天下の悪法「銃刀法改正法案」が国会を通過してしまったため、日本ではダブルエッジの刃物は事実上持てなくなってしったのです。そのため、例え実用を考えた刃物であっても、ダブルエッジにしてしまった時点で銃刀法違反で即重罪という状況になってしまったのです。
 他にも、先生方が繰り返し言っていたのが刃の長さ。
 何が何でも15センチ以内、しかも、実際の刃の長さではなく、役人が言い出しそうないくつかの解釈を考慮した上で、かなり小さく解釈しての大きさとなってしまっています。
 私はユーティリティナイフでしたので、15センチ以下の片刃でもなんとかなりましたが、庭の手入れ用にナタを作りに来た人などは、一体どうすればいいのでしょうか?


 そもそも、日本は刃物文化の国です。
 たまたま60年前に敗戦をし、GHQの指令によって銃刀に制限を加えられましたが、本来の日本文化を考えれば、そんな制限は、生活に不自由を与えるだけのもののはずなのです。
 日本の草は成長著しく、大鎌でなければ刈れないものも多いですし、険しい粘土質の丘陵は、ある程度の長さの刃物がなければ分け入ることさえ困難です。温暖な気候では、魚はすぐに血抜きをしなければ味が劣化しますし、何かを束ねる麻ひもは、一度結べば外すときには切断するように出来ています。
 毎晩ホテルで豪華な食事を食べているだけの政治家の先生方や高級官僚の方々には、そうした庶民の生活のつらさなど、どうでもいいことなんでしょうか。


 昨今の刃物を使った殺傷事件の増加にしても、刃物を使い慣れていない人間だからこそ起こしている事件が多いように見受けられます。
 秋葉原事件の加藤容疑者にしても、その他の事件にしても、そうした犯人はみな、犯罪を起こすためにわざわざ刃物を買っています。つまり、刃物を使い慣れ、親しんでいないからこそ、刃物を使った犯罪を起こすのではないでしょうか?
 誰だって、日頃から使い慣れた道具で人を殺すなんていうことは考えもしないものです。
 洗剤の類には劇薬が多いですし、自動車だっていとも簡単に人を殺せます。しかし、そうしたモノを使う凶悪犯罪は本当にオカシイ人によるものを除けばごく少数ですし、あまり目立ちません。
 ましてや、刃物は、自らの手を傷つけながら使い方を覚えるものです。自ら痛みを知った道具を他人に向けるには、相当の度胸と動機が要ります。しかしながら昨今の犯罪で、ペットが死んだから、ちょっとムカ付いたからと言う程度で刃物を気軽に他人に向けられるのは、これは、自らが刃物の痛みを知らないからなのではないかと思えるのです。
 私には、刃物が身近でなくなり、日本人の手から離れつつあるからこそ、刃物を使った犯罪が目立ってきているのではないかと思えてなりません。




追記:日曜丸一日いじってみて、現状、こんな感じです。

 隙間へのエポキシ充填のついでに、柄にエポキシ処理をして、ヒルトはヤスリで削りだした後で、ドレメル緑棒で磨いてあります。
 やっと完成したと思ったら、養生用のガムテープがべたついて、それをダイヤモンド砥石で軽く研いだらブレードが傷だらけになってしまっております(^^;
2008-11-25_01:57-teduka::General

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