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ラスベガス6日目射撃訓練日

 NABも最終日を迎え、ラスベガス滞在も、いよいよほぼ終わり。
 街はすっかり普段の雰囲気です。

 で。
 帰国前にやっておくべき事があります。
 それは、射撃の訓練。
 銃に馴染みの薄い日本の方には、意外と思われるかも知れませんが、シューティングはオリンピック競技にもなってる立派なスポーツなんです。
 私も、せっかく覚えた技術ですので、取りあえず、年に一回程度、海外に出た時に暇があったら射撃をするようにしているのです。
 とは言っても、グアムやサイパンあたりの観光客用の室内射撃ではまったく無意味です。
 ああいうのはただ撃たせて面白がらせるだけのアトラクションですので、射撃の腕云々にはまったく関係がなく、それどころか、整備や弾丸の品質にも怪しいところがあり、危険でもあります。あれでは、銃への理解を深めるどころか、無理解を深める役にしか立たないのではないかと危惧もしています。
 まあ、観光の一環としてならそれも致し方ないかなとは思うのですが、でも、どうせ撃つなら、ちゃんとスポーツ・武術の一環として訓練をしてくれるところが良いわけです。
 そしてラスベガスには、日本人ガンマンでは恐らく最も高名な方の一人であるキャプテン・中井クニヒコ氏が経営・指導されているデザート・シューティング・ツアーがあるのです。ここの門を叩かない手はありません。
http://www.desertshooting.com/


 ホテルまでは、なんと、キャプテン中井氏と、奥様ご自身がお迎えに来てくださりました。
 伝説のガンマンに会え、正直、感動です。
*中井氏の伝説は、下記を参照
http://www.norari.net/gun/back_gun.php
 私自身も軍事マニア系の雑誌に記事や漫画を書いていたこともあり、また、アニメや映画などの制作でも武器・銃器・兵器の専門制作者として見られることが多いため、そうした話をしながらシューティングクラブへ向かいます。
 昨年のNABの最中にはヴァージニア州立工科大学での乱射事件が発生して多数の死者を出しましたが、それでも、米国では銃の容認論の方が強く、現状では大学キャンパス内でも、自衛のために拳銃所持を許可するようにしようという運動が盛んになっているようです。
 これはもちろん、日本のメディアでの報道とはまったく違う内容です。日本のメディアは、自国での銃規制を正当化するために、あたかも米国で銃規制論が盛り上がっているかのような嘘を流しているわけです。それで本当にマスメディアと言えるのでしょうか?
 子供から刃物を取り上げた結果、逆に、刃物の危険性や痛みを理解しない若者が増え、ナイフでの殺傷事件などが増加しているのはご存じの通りです。
 銃も、もし、広く一般に訓練する機会があれば、日本各地で起っている乱射事件の大半は発生しなかったのではないか、という個人的な思いも語りました。


 こういうスポーツの常で、大先輩のお話は、ためになることばかりです。
 なんと、キャプテン中井氏自身、銃関連の映像制作をされていて、そのためNABにも参加されていたそうです。
 そしてシューティングクラブ到着。

 シューティングクラブは、日本にもあるスポーツで言うと、ゴルフクラブやマリーナに似た、極めて社交性の高い施設。実際、ここラスベガスのシューティングクラブはクレイ射撃コースで有名で、クラブ員には名士の方々が多いようです。
 ライフルレンジと、ピストルレンジ、それに、前述のクレーのコースがあり、いずれも雨の降らないラスベガスらしく、屋外コースとなっています。

 室内の無風状態で銃を撃っても上手くなりませんから、非常にありがたいコース設定と言えます。


 そしていよいよ、射撃レンジへ入ります。
 まずは、ライフルレンジを借りきり、米軍正式アサルトライフルM16/AR15と、スナイパーライフル・レミントンM700PSSの射撃から開始です。


 M16は、まず、キャプテン中井氏の見本から入ります。

 さすがはキャプテン。見事な射撃姿勢です。
 で、ここでちょっとした衝撃の事実が。
 私、ライフルの狙撃姿勢・スナイピングホールドを、今の今まで間違って覚えていました。
 つまり今まで私が作ってきた作品でも、登場してきた狙撃姿勢は全部間違えているわけで(^^;
 いやあ、やっぱり実銃をちゃんとした人にちゃんと習わないと駄目ですね。わはははは(^^;
 銃や軍事マニアには、自称元プロや情報通が数多くいるので、そういう方々の意見を真に受けてしまうと大変な間違いを犯します。この射撃姿勢の話もそういう方の話を真に受けていた結果で、非常にお恥ずかしい限りです。本当に申し訳ない。
 そして、気を取り直して弾丸を装填。一番上の赤い弾丸は練習用のダミー弾です。フィアリングピン(撃発針)を空発で痛めないために使うダミーの弾ですね。

 M16は5.56mmの対人に特化した弾丸を使う、米軍制式兵器。さすがに緊張します。

 スナイパー訓練用の小屋の中は非常に寒いので、上着を着ながらの射撃でした。ちなみに私は左利きですが、最初に受けた射撃訓練がスパルタで右射撃を強制されたため、右で撃っています。まあ実際、右の方が薬莢が顔に飛んでこないので幸せですし(笑)
 M16の射撃感覚は、非常にシンプル。
 AR-15、つまり民生版のM16は、オートマチックの単発銃なので、どんどんと弾を目標に送り込めます。
 私のような初心者でもちょっと練習をすれば、100m先くらいの目標だったら、赤いダットサイトを見れば、かなりの確率で当てられます。軍隊では、こんな高性能の銃を10代の若者たちが振り回しているのですから、その事実には少々戦慄も覚えます。
 狙撃をしていると、硝煙の香りが顔に吹きかかり、その威力を肌で感じます。


 続いて、レミントンM700PSS。
 こいつはPSS(Police Sniper Special)の名前の通り、警察の犯人狙撃用に特化した銃です。

 スコープも見やすく、150メートルの距離でも確実に命中。
 私の腕でも、射撃場の彼方に置いてあるクレー用の赤い皿を、どんどん破壊できます。
 ちなみに装弾も、自分でやらせて貰いました。



 つづいて、ウージーサブマシンガンを射撃。
 ここからは、スタンディングポーズでの射撃になりますので、ライフルレンジの中に入って行きます。
 これもまずはキャプテンのお手本から。

 さすが、カンカンと簡単に的に当てて見せます。
 使う弾丸は、9ミリ拳銃弾。

 一発一発の威力は弱いのですが、これをフルオートでばらまくのです。
 命中精度は低いので、今回の中では息抜きの遊び銃ですね。なにしろ半日以上の長い射撃教室なので、こういう遊びも必要です(^^;
 で、私も早速射撃。

 案外当たりますね。うん。
 ほとんど的を外さずに行けました。


 続いて、今回の目玉、M4S.I.R.!

 これは、M4カービンを改良した米軍最新式制式銃で、S.I.R.と呼ばれる汎用周辺機器装着装置が付いたタイプ。
 こいつは先のAR15とは異なり軍用そのままなので、フルオート射撃も行うことが出来ます。
 まずは、キャプテンの見本から。

 続いて、弾込め。
 30発入るマガジンを、1人2本撃ちます。

 そして射撃開始!


 恐ろしいくらいに当たる当たる。
 さすがにフルオートだと左右に振り回されて150m先の車一台に当てるのがやっとという感じですが、キャプテンは、150mくらいであれば30センチくらいに収まるそうです。
 凄い。


 そして、今度はハンドガンレンジへ。
 なんとここは、エアマーシャル(航空保安官)の訓練場も兼ねています。

 全然射撃をしない日本の警察や自衛隊とは違い、こちらの警察や軍隊は射撃訓練をしっかりと積むんですよね。
 訓練を積んだからこそ銃を安全に使えるわけで、警察官はおろか、自衛隊員ですらも年間平均30発強しか弾を撃てない日本の状況には、強く疑問を感じます。(つまりぶっちゃけて言うと、大半の自衛官よりもただのオタクヨットマンの私の方が、射撃経験は数倍も豊富なわけです。下手すりゃ腕も私の方が良いっていう方も結構いるかも。……これって大問題だと思いません?)


 ハンドガンレンジでは、的を特設します。

 キャプテンのお話では、米国の訓練では実戦闘を想定して至近距離での速射を行うことが多いそうなのですが、日本で自分が拳銃を持つことは法的・物理的にあり得ないため、距離を倍に伸ばした、射的訓練を行います。
 使う銃は、多種多様。

 ルガーMK2、S&W M-65、ベレッタ92FS、ルガーレッドホーク 44マグナム。
 いずれも、名銃です。


 キャプテンから、狙いの付け方の解説が。

 拳銃は、サイト(目星)に載せる感じ。ライフルはサイトの中に入れる感じという違いがあります。
 そして、ルガーMK2から射撃へ。

*ここからの写真はキャプテンの奥様が撮影してくださっています。
 月刊GUNにも写真を載せている、いわば射撃写真のプロだけあって、資料写真程度の我々には不可能な、見事な写真ばかりが続きます。


 まずはマガジンを装着。

 22口径だけに、先ほどのM16やM4と比べると、まるでオモチャのようなサイズです。
 しかしこれでも殺傷力は充分にあるので、逆に危険と言えます。映画や漫画の類では、22口径で人は死にませんが、実際に当たれば確実に死ぬのです。
 こういう危険性を皮膚感覚で理解するために、銃の実射体験は必須だと思うのです。
 そしてキャプテンの100%の驚異的命中率実演を見た後で、我々生徒の射撃開始!
 とりあえずは、ルガーMK2と、S&W M-65での射撃です。


 ここで、キャプテンから、大笑いでの突っ込みが。
「いやあ、まるで50年前の朝鮮戦争のようですねー(笑)」
 そう、わかる人にはわかるのですが、私の射撃スタイルは、体を斜めにしたウィーバースタンスなのです。
 これに対して、今の主流は、体を正面に向け重心をやや落とした正面撃ちスタンスなのです。理由はもちろん、体を正面に向けていた方が命中率が良いから。
 ぶっちゃけていうと、ウィーバーは向かって左には精度ががた落ちし、まったく当たりません。
 私は韓国出張が多い頃に元韓国軍下士官の方に射撃を教わったため、ウィーバースタンスを覚えてしまったわけです。(韓国軍は世界でも数少ないウィーバースタンスで射撃する軍隊なのです。つまり、なんかの拍子で韓国軍関係者と戦う場合には、右に逃げましょう(^^;)
 もちろん日本の警察や自衛隊でも現代では正面撃ちなので、少なくとも、日本人の実銃射撃でウィーバースタンスを採る人間は、私は自分以外にはもう一人くらいしか知りません(苦笑)
 そういうわけで、右側と正面の的にはびしばし当たるのですが、向かって左にはまったく当たりません。
 かといって、足を移動させるのも癪。
 キャプテンによれば、スポーツ射撃である以上、まあ当たればどんなスタンスでもオッケーということで、ウィーバーのまま射撃を続けます。
 一生懸命撃つのですが、結局、自分よりもある程度以上左の的には、ルガーMK2とS&W M65では当たらずじまいでした。


 そして弾込めタイム。


 一生懸命弾を込めていましたが、そう、次は大好きな拳銃なのです。ただ、こいつで今までいい命中精度を出したことがないのも大問題。

 そう。米軍制式拳銃、ベレッタ92FSです。



 さすが名銃、ばしばし当たります。
 ……ええ、正面よりも右側には(^^;
 ベレッタ92は何かと悪評の高い銃なのですが、ベレッタ特有の正しい撃ち方を教わった途端、当たるようになりました。
 確かに、こつさえ掴めば名銃です。


 もちろん、私もいつまでも50年前のスタンスにこだわる気はありません!
 というわけで、次のルガーレッドホークでは、正面撃ちにも挑戦!
 自分より右の的にはウィーバー、それより左には正面撃ちという、卑怯者作戦です。
 まずは順調に正面までは100%の命中率!
 で、スタンスを変え、正面撃ちに!

 ……不格好ですね、ハイ。明らかに慣れていない感じ(^^;
 ええっと……結果はご想像通りで、生兵法に実効性がないことを証明して終わりました。


 ちなみに元々正面撃ちの橋本君は、この、ルガー44以外の銃では全般に好成績を残していましたが、途中から肩の痛みを訴えて命中精度を落としていました。
 正面撃ちは、肘で衝撃を逃がすのがかなり難しいみたいですね。ウィーバーの自分には関係なさそうですが(^^;



 そしてこの半日に及ぶ射撃もついに最後。

 レミントン・ショットガンで派手に5連発してフィナーレです。

 弾丸は、上から1発、下から4発入ります。
 ショットガンは、散弾なので、適当に狙えば当たります。
 まあこれは、最後を締めくくる花火のようなものなんですが、当然気持ちよくサクサク当たるので、今まで外しまくった鬱憤が晴れて、すっきりします。


 楽しかった射撃もついに終了。
 完全防弾のはずの的は、銃弾でボロボロです。

 初心者でもここまで充実した射撃体験をできるのは、本当に素晴らしいことだと思います。
 腕を上げたい方にはお薦めのガン・ツアーです。


 その後、ハンバーガー好きだという話をしたところ、In-n-out Burgerに連れて行っていただきました。



 ここでは、日本の政治問題・周辺軍事問題などについて、熱くお話をしました。
 私にも色々と熱い思いがある分野ですので、本音をずばりと語らせていただくことが出来、短い時間でしたが本当に勉強になりました。
 キャプテン中井、本当にありがとうございました!


 そしてその後は、Bass Pro Shopsへ送っていただきました。

 ここは、カタログ販売で日本でもお馴染みのお店。
 世界最大のアウトドア通販チェーン店の、実販売店舗です。
 私の目当てはヨット用のマリーン用品でしたが、もちろんここにも、狩猟道具や護身用拳銃が売っています。



 中でも注目は、芸術性の高い銃器ばかりを集めたコーナー。


 こうした、古い銃の芸術性の高さは、明らかに日本刀に通じるものがあります。
 ちなみに、ペット用品も売っています。

 理由は簡単。狩猟犬用品なのですね。
 本当に、米国では銃が市民社会にとけ込んで、実用的に使われているのです。


 もちろん、銃は極めて殺傷力の高い危険な武器です。しかし、オリンピック競技にもなっている世界的メジャースポーツだというのもまた事実。
 それも、オリンピック正式競技スレスレラインの野球などよりも、はるかにメジャーなスポーツなのです。
 そうした事実に目を瞑って、銃器への嫌悪感だけで行動していても、なんにもならないのではないでしょうか?
 そうした嫌悪感が、自衛隊の年間1人あたり30発という恐ろしい射撃経験の低さを産んでいるのだとしたら、これは、極めて危険なことでもあります。観光客よりも銃を撃ったことのない組織では、なんのための防衛組織なのか、まったくわからないではないですか。
 日本でも、銃器に実際に触れてみる機会がもっとあっても良いのではないかと思えてなりません。
 それでこそ、本当の危険性を知ることもできますし、また、危険性を知った上での制御の方法や犯罪の抑止方法も見つかるのではないでしょうか?
 結局、銃を規制したからといって、銃を使った凶悪事件が日本で起っていないわけではありません。結局、犯罪者は違法行為は平気なわけですから、どんな手を使ってでも銃を手に入れ、犯罪に使ってきます。
 その時に武器を持たない市民がどう対応したらよいのか、あるいはどうすれば抑止できるのか、そうした事も、実際に銃を撃った経験がなければ考えることすら出来ないのではないでしょうか?
 私は日本での銃の規制を撤廃すべきであるとはまったく思いません。銃のない社会を実現を目指す、素晴らしい制度だと思っています。
 ですが、世界的な常識を持たないでもいい、というのもまた違うのではないかとも思うのです。
 少なくとも、一度は、観光地の客寄せでなく、実際に銃がスポーツとして実生活に使われている地域でのやり方で、銃を撃ってみる経験も必要なのではないかと、そう思うのです。
2008-04-18_17:51-teduka::General

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