・絶対に落水しない
落水をしたらかなりの確率で助かりません。
救命胴衣をつけていた場合で84%、つけていなかった場合で24%の生存率です。
また、ずぶぬれの人間の体重を、船のフリーボード(舷側)を超えて引き上げるのは大変困難です。
絶対に海に落ちないように、常に片手で船の一部をつかむようにしてください。(これを船のことわざで、”片手は自分のため、片手は船のため”といいます)
また、海況に関わらず危険を感じたら速やかにハーネスを着用してください。
・トイレを使う
大小便には、なるべくトイレを使ってください。
落水死亡者のうち、なんと80%の人のズボンのチャックが開いているという恐ろしい統計結果があります。
大海原でのトイレは気持ちの良いものですが、”まがもん”では原則禁止とします。
・ライフジャケット(救命胴衣)は常時着用
上級者を気取ってライフジャケットを着ない人が居ますが、私の知るヨット上級者はどんな短距離の船出でも必ずライフジャケット(救命胴衣)を着ています。下手な人ほどライフジャケットを脱ぎたがるようです。
ライフジャケットは格好悪いという人もいますが、安全に鈍感で独りよがりな自信を持っている方がもっと格好悪いと思いませんか?
”まがもん”では、ライフジャケットを着けない人の乗船はお断りしています。
・万一落水したら動かない
万一落水をした場合には、下手に泳いだりして体力を使ってはいけません。
潮の流れとの誤差も生まれるため、居場所もわかりにくくなります。
ひざを抱えて丸まり、体力・体温を温存してください。
・落水救助方法
”まがもん”では、”ライフスリング”をメインの救助手段として使っています。
船尾左舷側に白いビニルパッケージにUの字型の浮力体が入っていますので、これを落水者に放り投げてください。U字型の浮力体には頑丈な紐が結び付けてあり、その末端はオーナーズチェアにくくりつけてあります。
落水者がU字型にしがみついたら、そこに体を通させて、引っ張りあげてください。
気絶をしている場合には、U字に付いた紐で絡めて引き上げます。
また、”まがもん”の船尾にはスイミングラダーが付いており、体力がある場合にはそこから船上に上がることも出来ます。
・ヨットが横倒しになった場合
ヨットは横倒しになっても勝手に起き上がります。
したがって、船にしがみついていてください。
”まがもん”では、真横を越えて、110度くらいまでは横倒しになっても数秒以内に起き上がると思われます。
また、ヨットは完全に180度ひっくり返っても、最大15分ほどで起き上がります。
ただしこの場合には、15分間海中にいたら人は死んでしまいますので、コックピットに居た場合には一旦海上に浮かび、船の近くで起き上がるのを待ってください。(ハーネスやロープが絡む危険性が高いので、シーナイフは必携です)
転覆した船内に居る場合には片舷に体重を集めてそのまま待機してください(キャビン内は気密が保たれており、15分程度ひっくり返っても空気が抜け切ることはありません)。
横倒し時に、マストやセールにつかまると、てこの原理で船の起き上がりを阻害して、沈没の原因となります。
大波の中怖い気持ちはわかりますが、起き上がるまではライフジャケットで十分浮いていられますので、のんびりと船が起き上がるのを待ってください。
起き上がったら、船の後ろ側にあるスイミングラダーから速やかに乗船してください。
キャビン内にいた人は、船が起き上がり次第速やかにセールを降ろして船の動きを止め、コックピットに居た人の救助に当たってください。
行方不明者が居ない場合には、特に118番通報などは必要ありません。
ヨットは原始的な分、タフなのです。
・沈没の際には
ヨットの安全率は巨大タンカー並みのためまずありえませんが、衝突事故などで万一船が沈没した場合には、沈没に巻き込まれないように船からやや離れてください。
その後は、色々と浮いてきますので、なるべく浮力の高いものにつかまり、救助を待ってください。
日本沿岸では、118番への電話を速やかに行ってください。
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