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 師にお話を伺っていて「我々が目指すべきは、既に刀が用をなさなくなっていた江戸新刀新々刀ではなく、兵農分離前の鎌倉、混沌としたエネルギーに満ちあふれた時代の刀である。それこそが日本人の原点である」と言うお話を伺った。
 まさに。さすがは師と決めた刀匠と心を打たれた。
 狩猟刀や山刀として刀剣の断片が村々に残っている事でもわかるとおり、本来刀とは、日本人庶民の生活に密着したものであった。それを日本人から奪っていく過程こそが、安土桃山、江戸、明治維新、太平洋戦争であった。
 江戸期に出来た様々な作法は、朝鮮半島・大陸での秀吉の大敗北に端を発する世界からのひきこもりにすぎず、航海技術の発達での国際化で盛り上がる世界からの、現実逃避の手法に過ぎなかった。本来の日本文化は、その前、信長以前に求められるべきなのだ。

 しかしながら、現在、かけら程度でも残っている文化は、江戸時代のものが精一杯で、後は多くが失われてしまっている。作刀法しかり、刀操法しかり、そもそもの人と人との接し方しかり。
 それを少しでも取り戻さなければならない。
 それこそが、他国の隷属に甘んじてしまっている現在の我が国が自意識を取り戻すための唯一の道ではないかと、そう、強く思う。
2010-07-24_21:47-teduka-C(0)::iai