続いてカニ移動のペーパー。
演者の飛行機の都合で順番が変わって、スターウォーズ・エピソード2の論文が、先にやっちゃってました。残念。

でも・・・おお、いたいたいたいた!
Overviewのときの、頭真っ青のトゲトゲの人!
やっぱりこの手の人は、どこの国でも最終日に回されちゃうのね(笑)
しかしこの、トゲトゲの彼、なんと、外見と正反対のきわめて正統派のお堅い論文を発表。口調も中身も、日本の学会の学会賞でも取れそうなほど上品で、ガッチガチにお堅い!(Painting and Rendering Textures on Unparameterized Models / David (grue) DeBry, Jonathan Gibbs, Devorah DeLeon Petty, Nate Robins)
内容は、3Dペインティングの次世代の方向を探る、堅実で面白い話。いや、こりゃすごい。
でも、作り上げた事例がなんともアーティスティックで、不気味この上ないところが、なんともトゲトゲ君。
こういうの、ソフトウェアに実装されるの、早いんじゃないかな。

続く論文。(Stylization and Abstraction of Photographs / Doug DeCarlo, Anthony Santella)
お、こりゃ大当たり。
2Dの絵画風処理の問題の論文。
最終日はこういうのがあるから面白い。
まず、この論文が今までと違うところは、人の視点の動きから統計的に必要箇所を取り、それ以外を代表色で塗り潰すことによって色を捕らえるところ。
この手の絵画調ノンフォト最大の問題であるエッジ処理には、通常のエッジ検出を使用。ただし、そのセグメンテーションには、ピクセルや色を基準にした通常の処理をヒエラルキー化して多重処理する。例えば、顔全体の子供として、精度を高めてセグメントした目の部分のエリアを上のレイヤーに載せる、といった具合。そうすることで、先ほど統計的に決定した推測視点部位ごとの分割精度を変えられるという仕組み。で、推測される視点位置にあわせてヒエラルキーの階層数を整数化してグラデーションさせる、と。
・・・ううん、シンプル!
色やコントラストのとり方もシンプル。変化のあるカーブにフラクタルウェーブをかけて多少のブレを作ってから、カラーエリアを区切る手法。
で、最終的に、それを合成、と。
うん、シンプル、かつ、素直。そして役に立つ。
論文はこうじゃなくっちゃね。
こういう、認知的視点と、従来の計算処理の組み合わせ、今年は多いですね。こういうの好きなんで、うれしい限り。全体を難しい単独式で削りあげるのではなく、単純に複数回の処理をした後で重要領域を選んで残すやり方だと、一般環境でもすぐにでも実現できるから、弊社のマンガにも早速応用するつもりです。レイヤー構造で、簡単にヒエラルキーも組めるしね。
ただこのやり方、動画だと、フレーム間の色化け問題があるのね。
まあ、そりゃそうか。でも、ライン化まで行っているんだから、後一歩ですよね。ありきたりだけど、動画のメッシュ化とかそっちの方の技術と組み合わせて視線認知の方の研究を進めて行けば、来年には解決してるんじゃないかな。
で、次は・・・うは、こりゃつまらん。
いくら演者の飛行機の都合で順番が変わったとはいえ、これが今年のSIGGRAPHのトリというのはきついねえ。
受けを狙ってビデオを流すんだけど、論文内容の貧弱さはどうしてもカバーできず。
なんだか、とほほな感じです。つまんない内容の論文でパス変形のギャグ飛ばされても、ねえ・・・。会場を困った感じの笑いが埋め尽くします。

・・・で。
いまさらよそへも行けないし、さっそく、隣にいた数学者の先生Davidと雑談モード。なんでも、手塚の持つこのとっても小さいVAIOが、今まで気になって気になって仕方が無かったんだそうだ。なるほど、あなたもか。
そこで、目の前の論文のものよりも明らかに出来が良い、自分の会社のノンフォトレンダーをU1で見せる。大いに喜ばれ、論文そっちのけで盛り上がる。あ、もちろん論文発表中なので、二人とも前を向きながらのこっそり会話。ナイトショットで写真とったけど、変ですねえ。
ちなみにDavid先生、よほどつまんなかったらしく、私との会話が終わると、論文発表中にも関わらず、とっとと自分の大学に帰っちゃいました。マンガが大好きだって言ってたから、後で大学にマンガ送ってあげよっと。