日記のページロゴマーク 2002年7月22日



 
 ■Openig Reception

 そして本日最後のイベントが、このOpenig Receptionです。
 要は、パーティですね。



 Receptionは、会期中に2回開かれますが、今回のは最初の方の奴で、SIGGRAPHの開催を祝うパーティです。
 Openingの方は、もともとPaper参加者向けのReseptionとして開かれていたため、OverViewの直後から開かれます。従って、OverView後にElectric Theaterに参加していた私は大遅刻。でも、気にすることはありません。どうせ、みんなそんな感じですので。
 で、いよいよパーティ参加。周り中言葉も通じない人たちなのでさすがに最初は緊張しますが、所詮はCG馬鹿ばっかりなので、酒が回ったころには自然に打ち解けます。
 会場のSunset Stationはお洒落な場所なので、汚い格好のCG屋たちが、浮くこと浮くこと。
 ちなみに私の持っていったVAIO-U1とDVカメラが受けていました。
 It's Crazy!!だそうです。




 ちなみに、偶然お会いした奥田さんとの写真が、こちら。

 
 ■Electric Theater

 続いて世界中のCGムービーを集めた映像集をSIGGRAPH大勢の参加者で見るイベント、Electric Theaterを見ました。
 先ほどのOverViewが論文の晴れの舞台だとすれば、こちらはアーティストの晴れの舞台です。

 今年のElectric Theaterも、大いに盛り上がりました。
 中でも大いに盛り上がったのが、日本のテレビ朝日が制作した「ポリゴン家族2」。
 もう、会場中が馬鹿受けです。



 ちなみにこのイベントは撮影禁止なので、あしからず。
 世界中から色々な出自の映像が集まるので、その著作権への配慮です、私たちMEDIAですらも撮影禁止です。

 Electric Theaterについては、さまざまなところで紹介されているので、この辺で説明を省きましょう。

 
 ■Fast-Forward Papers Preview



 その年のSIGGRAPH年次大会で発表される論文を、発表者自身が面白おかしくたったの50秒で語りつくすイベント、それがOver View(Fast-Forward Papers Preview)です。
 これを見なけりゃ、SIGGRAPHに来た意味がありません。
 今年もOver Viewは大いに盛り上がりました。
 しかし毎年この時間にユーザーミーティングを当ててくるメーカーがあるのは困りもの。所詮ソフトウェアユーザーは論文なんかわからないと馬鹿にしているんでしょうかねえ・・・。SIGGRAPHとはエキシビジョンのことだと誤解して、「山までは見ず」の人が増えつつある中、そんな風潮を助長しているようで、少し悲しい感が・・・

 さて、このイベント、何が面白いかというと、発表内容が面白ければ叫んでも良く、つまらなければブーイングOK、という論文発表イベントなのです。しかも持ち時間はたったの1分弱。論文の面白さ、重要さはもちろん、その論文に価値を与えるためのプレゼンテーション力も問われます。




 しかも、ここで上手に面白さが伝わるように発表しなければ、論文発表の際に来客が見込めず、そして誰も見ないような論文を発表してしまったということは、イコール、論文に価値がないということであり、それは、残念ながらその人の将来がなくなったことを意味します。
 日本の、全員黒服で事前段取りどおりに粛々と進む葬式のような学会とは異なり、SIGGRAPHはとてつもなくクールでハードな実力世界なのです。

 このOver View。一見馬鹿馬鹿しいようですが、しかし、このイベントがあるからこそ、昨今のSIGGRAPHの高度な論文レベルは保たれている、と私は思っています。
 日本の学術レベルが世界的に見てきわめて低い原因の一つに、老害や縁故主義が挙げられます。日本では、すでに先端技術について行けない方々が、過去の栄光を盾に、自分たちの付いていける範囲の論文を重用する(あるいはそこまで行かなくとも、自分たちにとって利益のある人物を優遇する)のが当たり前なのです。日本は論文内容よりも、人間関係や出身大学、人柄の良さとやらが重視される世界なのです。
 しかし、SIGGRAPHではそうは行きません。
 確かに、この発表の場に来るまでのプロセスには、毎年改善が進んでいるとはいえ、少々不透明なところがあります。しかし、この場に出てしまいさえすれば・・・
 後は、その論文が本当に世の中に必要なものかどうかは、世界中から集まったその世界の最先端のプロたちが自分たちの経験と実利に基づいて判断し、表現するのです。
 また、このOver Viewの仕組みのお陰で、どんな天才であっても高慢や独善に陥ることがありません。
 SIGGRAPHで論文発表をするからには、彼ら彼女らは間違いなく世界最高の天才たち、人類の至宝なのですが、皆、極力人格者であろうと心がけます。お、見た顔だ、と思って私の下手な英語で話しかけても、皆さんフレンドリーにお返事をくれます。
 簡単な話、高慢ちきな奴や独善的な奴の論文を見る気は誰にも無いのです。

 日本でも、全学界で即座にこの仕組みを採用すれば、今の情けない状況を打破して、一気に先進国に返り咲けると思うのですが・・・

 とにかく、CGに限らず、学問に興味のある人ならば一度はSIGGRAPHを覗くべきです。
 世界観が間違いなく変わります。

 ・・・ちなみに学問に興味が無くとも、人類の至宝たちが、受けるために紫色でとげとげの髪の毛にしてみたり、論文の概要をラップにして歌ったり、CMのパロディをやって見たり、叫んでみたり、コスプレしたりする姿を見るだけでも、価値はあると思います(笑)
 ああ、天才とはいえ、自分と同じ一生懸命に生きている人間なんだなあ、と指を指して笑えること、請け合いです。
 職業に貴賎は無い、ということを、腹の底から感じられます。




 さて。
 それはともかく、今年は当たり論文が多いようです。
 なかでも、シミュレーション系が当たり年で、空気を入れた風船のようなふくらみを実現する研究や、弾性物体とその破壊をシミュレーションする研究などが面白そうです。
 明日からのPaperが楽しみです。

 
 ■恐怖は突然に(番外編)

 昼食後、午後のSessionに向かう。
 すると・・・


 あちゃ、Session Fullだ!
 50人程度の狭い会場に、100人近くが押しかけていました。これは典型的な口コミ人気というやつ。
 こういうことが無いように、出たいセッションには事前にしっかり並びましょう。

 で。
 もう一つ目をつけていたやつも、キャンセルドでお流れ。そこで、仕方なく会場内をうろつく・・・
 しかし、杉山先生にお会いしたほか、特に何事も無く時間が過ぎてしまう。諸般の事情で極度の寝不足だけに、放って置いたら本当に寝てしまいそうだ。いくらなんでもそれは大問題。一応ここは学会なのだし。
 ・・・午後5時半まではまだあるし・・・買い物にでも行くか。
 幸い、近くにマーケットスクウェアというのがあるという。ちょうどそこに知り合いもいるらしいし、SIGGRAPHバスも近くまで出ているので、早速向かうことにしました。

 と、そちらに向かうバスの中で、ホテルに荷物を置きに帰る途中の深野先生と同席。マーケットスクウェアに行く、というと、先生、妙な顔をする。「いや、やめた方がいいと思うな・・・」
 よくわからないが、まあ、大丈夫だろう。高をくくって、お散歩開始。
 バスの運ちゃんもサービスを利かせてすぐそばまで送ってくれる。
 いや、ありがたい、ありがたい。

 で、マーケットスクウェアに向かうが、その前に、手前にあるスーパーでお買い物。
 おおお、広い!
 さすがはアメリカ。
 喜び勇んで色々買い込んで、レジを済ませる。
 英語が通じにくいあたりも、非常に好ましい。
 さすがはテキサス南部。
 と、店を出たところで気が付いた。あ、そうだ、写真を撮らなきゃいけませんね。

 かばんを下ろし、ごそごそやる。サンアントニオは空気が湿っていて熱く、生まれ故郷の埼玉県に非常に似ているため、過ごしやすいな。
 寝不足でぼおっとした頭でそんなことを考えながら、のほほんとかばんを漁る、と・・・

 妙な、感じ。

 気が付けば、前方斜め25メートルくらいのところに、薄汚い格好の白人の男が一人。
 男は、こちらのことをちらちら見ながら、何気なく周囲を歩く。
 なにやら妙な予感がして、立ち上がり、かばんを背負い直す。
 マーケットスクウェアは、男とは反対側。後は彼に背を向けて歩くだけなのだが・・・
 何か、いやな予感がする。
 なんだか、背筋が泡立つような・・・

 と、男は、とつぜん、不自然にシャツをめくり上げ、腹を見せた。
 めくり上げたシャツで汗を拭く。
 ・・・妙だ。
 まるで、何かを持っていないことを示しているかのように、腰周りをことさらに見せる。
 顔はそっぽを向いているのだが、目が、こちらを見ているのがわかる。

 ・・・試しにこちらが少し動く。
 男は、しばらく間をあけて付いてくる。
 ふと、男の異様に大きく膨らんだヒップポケットが気になる。
 見れば男の目は、どこか異様だ。
 ストレートに言って、「飛んで」いる。

 これは、ひょっとして・・・やばい・・・のか?

 幸い、まだ場所はスーパーの駐車場。
 大きく遠回りをし、慎重に方向を変え、200メートルほど先の、SIGGRAPHバスの止まるホリデイインに向かう。
 こちらは相当に変な動きをしているというのに、男は、距離をとりながら、しっかりとこちらの動きに付いてくる。
 ・・・完璧にやばい。

 気が付けば男と自分以外、人通りは皆無。
 皆、車で移動するので、人がいないのだ。
 ・・・こんなやばいところをのほほんと歩いていたのか。
 寒気が背筋を走る。
 幸い車通りは多いので、極力車道側に寄る。
 クラクションを鳴らされつつ、慎重に、慎重に、男に気が付かないフリをしながら、ホリデイインに向かう。

 と、向こうにSIGGRAPHのバスが見えた!
 バッヂをゆっくりと男を刺激しないように取り出し、大きく振る。
 と、バスがゆっくりと目の前に止まる。
 男は何気ないフリをして、離れて行った・・・

 真っ青な顔色でバスに乗り込むと、なんと、そこには荷物を置き終えた深野先生がいた。
 事の顛末を話すと、深野先生は言ってのけたのだ。
「だから言ったでしょ。やめた方がいいって」

 聞けば、マーケットスクエアの近くは、結構危ない地域らしい。
 バスの運ちゃんも、それを心配して近くまで送ってくれたのだ。
 スーパーで英語が通じにくい時点で、私は気が付くべきだった。

 いくらサンアントニオが安全とはいっても、それはあくまで観光地域だけ。
 そこを離れれば、ごく普通のアメリカ。
 そう、いくら埼玉県に似ていても、ここは、拳銃の氾濫する犯罪大国アメリカなのだ。

 いくら寝不足とはいえ、今回はあまりに油断をしすぎた。
 日本に無事帰るため、緊張感を持つことを心に誓った。

 
 ■コース2日目

 今日も引き続きコースの日。
 ただし、今日は午後5時半から論文のオーバービュー、6時半から移動して7時からElectric Theater、その後オープングレセプションと夜が忙しいので、午前中はまあ、おまけみたいなものかもしれません。
 あ、ただ、エデュケーターズプログラムは今日がメインの日なので、教育熱心な先生方はそちらにお忙しい様子です。私も講師はしていますが・・・。
 ま、まあ、ほら、そこはそれ。私は講師専属ではないので(^^;
 ちなみに、明日から始まるエキシビジョンに備え、会場準備が進んでいるようです。


 午前中は、ノンフォトリアリスティックのレンダー手法についての講義を受講。自分の会社でCGを使ったマンガをやっているため、興味があったんです。(http://www.aera.co.jp/kotetsu/index.html
 結果は大成功。非常に熱い講義でした。法線を利用した手法や、単純に一度レンダー成分ごとに分けて極端な処理をしてから再合成する方法、テクスチャーにはじめからノンフォトの素材を張る方法など、色々なやり方があるんですね。本格的なプログラムを組まなくとも、スクリプト程度で十分真似できそう。ちょっと遅刻してしまったのが悔やまれます。
 日本に帰り次第、この部分についてのコースノートを印刷しようと決めました。
 ただし、熱い講義も前半まで。演者が美人のお姉ちゃんに代わったとたんに猛烈な眠気が・・・
 たまにいるんだ、こういう人。Paperは無理だけどコース講師なら出来るとばかりに持論を展開しちゃう人。私は、あなたの開発したノンフォトのテクスチャー描画方法の新技法を聞きに来たんじゃなくって、ノンフォトの実例を聞きにわざわざ日本からやって来たんですが・・・?
 あきれて部屋を出る大勢に習って、私も早々に退出。

 部屋を出るとすでに12時。いまさら他のコースを見ても講義に付いていけないので、とりあえず昼食をとることに。

 今日の昼飯は、これ!
 グレードアップしました!
 って、昨日とぜんぜん変わらないじゃないかって?
 いやいや、リンゴが一つ付いたんです(笑)
 ちなみにこれで7ドルもします。会場の飯は高くてまずい、というのが相場ですが、いやはや。

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